「レヴィ=ストロース入門」
恥ずかしながら「構造主義」って何者なのか、実は知りませんでした。イデオロギーの一種なのかと勘違いしておりました。また、「ポスト構造主義」は”反”「構造主義」なのだと思い込んでました。何も知らないのに、言葉の雰囲気だけでそう思っていた訳です。そのうちに勉強せにゃいかんなと、うだうだしていましたが、本屋でこの本を見つけたのでぼちぼち勉強開始です。
さて、レヴィ=ストロースはフランス生まれの人類学者・神話学者で、構造主義の元祖の人。といっても、この本を読むまでは名前以上のことはよく知りませんでしたが。。。
そんなレヴィ=ストロースの人となりや業績をコンパクトにまとめたのが本書でした。最初の章は、構造主義とはどんなものか、そしてどのように誤解されてきたのかを語り、それを通してレヴィ=ストロースがどのようにしてそんな考え方にたどり着いたのかが述べられている。
そこから先は、レヴィ=ストロースの主な著書の発行順に、そこで語られているテーマをまとめている。最初に紹介されているのは「親族の基本構造」。古今東西、どんな社会でも近親婚はタブーとされている。これはなぜなのか。生物学的な淘汰圧が加わるためなのか、それともなんらかの社会的慣習が固定化したものなのか。実はどちらでもなく、ある原理から説明できるのだ、というのがこの本(「親族の基本構造」)の主旨。その説明の中で数学の力を借りているのもレヴィ=ストロースの特徴のようだ。
次の本は「野生の思考」と「今日のトーテミズム」。トーテミズムとは、氏族などの人間集団が特定の動植物と特別な結びつきを持ち、その動植物の名前を集団の名前としているような信仰や制度のことだそうだ。黒鷲族だのサボテン族だのといった感じのもの。レヴィ=ストロースは、このトーテミズムの考え方を、西欧の学者が未開の人々を“未開”の文化だとレッテルを貼るために作り出した幻想だと一蹴している。その上で、このような考え方は西欧だろうとどこだろうと普遍的に人々の中にあるものなのだと明かしてみせた。
最後は「神話論理」四部作。南北アメリカのインディオの人々のありとあらゆる神話を収集し、それらの関係を読み解いていくもの。一見、荒唐無稽で支離滅裂に見える神話。これまではその話を一つずつ、意味を求め、解釈をしていこうとし、結局は「未開の人々の無意味な話」と片付けられていた。ところがレヴィ=ストロースは、一つずつを解釈するのではなく、似てはいるけどなにか違う話を横に並べ、それらの関係を見つけ出していく。すると、今まで意味のないものと思われていた話がある変換規則に沿って他の話へと変容しているが見えてくる。この変換規則こそが本質なのだというわけだ。これは、最初の著書の「親族の基本構造」でもみせた数学的アプローチをそのまま適用している。ここに一つの分析手法が確立している訳。で、これが構造主義と呼ばれるもの(だろうと私は解釈・・・・ちょっと自信がないけど ^^;)ということ。
まだ理解が浅いので、うまくまとめて説明できませんね。でも、構造主義、ちょっとわかってきたかな。次は、ブルバキの「数学史」も読んでみたいなと思ってます。
ということで、まさにレヴィ=ストロースの入門書としてはよくまとまっていて分かり易かったですよ。おすすめです。
この記事へのコメント
いくつになっても勉強をするっていうのは大切なことですね!
あてはまるか試してみる、たしかに数学的です。
ブルバキもお読みになったら、紹介してくださいね。
私の場合、どれもこれも底が浅いですが、その分、広くいろんなことを知りたいなと思ってます。
野うさぎさんへ:
あれとこれは似ているぞ、とか、これとそれとは違っている違い方のパターンが一緒だ、という感じ。XX主義と言われると難しそうですが、実はとても納得感のある考え方でしたよ。
TaekoLovesParisさんへ:
何ごとも食わず嫌いはいけないですよね。
最近、本を買いすぎ。積んである本が捌けるどころか増える一方です。ブルバキ、いつになるかなぁ。。。